京都地方裁判所 昭和37年(ワ)72号 判決 1968年3月27日
原告
ゼ・カリコ・プリンターズ・アソシェイション・リミッテッド
右代理人弁護士
湯浅恭三
坂本吉勝
外九各
右輛佐人弁理士
小田島平吉
被告
日本レイヨン株式会社
右代理人弁護士
兼子一
外七名
右輛佐人弁理士
秋山礼三
被告補助参加人
インベンタ・アクチエンゲゼルシャフト・フユール・フォルシユング・ウント・パテントフェルウエルツング
右代理人弁護士
ローランド・ゾンデルホフ
同
牧野良三
参加被告
日本エステル株式会社
右代理人弁護士
兼子一
外四名
主文
参加被告は、別紙目録(一)記載の方法を使用して高重合体を製造し、譲渡してはならない。
参加被告は、別紙目録(一)記載の方法を使用して製造した高重合体を廃棄せよ。
原告その余の請求を棄却する。
訴訟費用中、原告と被告との間に生じたものは、原告の負担とし、原告と参加被告との間に生じたものは、これを三分し、その一を原告の負担、その余を参加被告の負担とする。
事実
当事者の求める裁判
一 原告
参加被告は、別紙目録(一)記載の方法を使用して高重合体を製造し、譲渡してはならない。
参加被告は、別紙目録(二)記載の方法を使用して繊維を製造し、譲渡してはならない。
被告は、別紙目録(二)記載の方法を使用して製造した繊維を使用し、譲渡してはならない。
参加被告は、別紙目録(一)記載の方法を使用して製造した高重合体および別紙目録(二)記載の方法を使用して製造した繊維を、被告は、別紙目録(二)記載の方法を使用して製造した繊維を、それぞれ廃棄せよ。
訴訟費用は被告および参加被告の負担とする。
前項を除き仮執行宣言。
二 被告および参加被告
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
原告の主張(請求原因)
第一 甲特許権の侵害について
一 (原告の甲特許権)
1 原告は、次の特許権を有する。
特許第二〇三、〇四五号(以下甲特許という。)
発明の名称 高重合物質の製造法
出 願 日 昭和二五年二月二五日
優先権主張日 工業所有権戦後措置令により昭和一六年(一九四一年)七月二九日の英国における特許出願に基く優先権を主張
公 告 日 昭和二八年九月一六日(特許出願公告昭和二八年第四、六四〇号)
登 録 日 昭和二八年一二月一八日
2 甲特許の特許明細書の「特許請求の範囲」の項には、次の記載がある。
「系グリコールをテレフタール酸又はテレフタール酸の低級脂肪族エステルと反応させ、反応生成物を加熱して高重合された状態のエステルとすることを特徴とする高重合結晶性又は高重合微晶性物質の製造法」
これを整理すると、次のようになる。
(一) 原料
(1) 系グリコール(以下ポリメチレングリコールという。)
(2) テレフタール酸又はその低級脂肪族エステル(以下テレフタール酸で代表させ、T成分という。)
(二) 手段
(1) 右原料を反応させ
(2) 反応生成物を加熱して高重合された状態のエステルとすること
甲特許発明の手段は、右の二段階に分れ、実際の製造方法に即して説明すると、次のようになる。
イ 第一工程。単量体の製造工程である。「反応させ」という表現は、反応のために必要なすべての処理操作を包括している。T成分とエチレングリコール(ポリエチレングリコールの一種)とを加熱することにより、エステル化反応が生起し、ビス―β―ヒドロキシエチルテレフタレート(以下Tエステルという。)が生成される。しかし、実際には、その低縮重合体も生成されると考えられる。
ロ 第二工程。右反応生成物を重合させる工程である。「加熱して」という表現は、重合反応のために必要なすべての処理操作を包括している。右単量体(低縮重合体)を加熱することにより、縮合重合反応が生起し、高重合された状態のエステルが生成される。
(三) 目的物
高重合結晶性又は高重合微晶性物質 これは、高重合ポリエチレンテレフタール酸エステル(原料にエチレングリコールを用いる場合はポリエチレンテレフタレート)であり、T成分より由来した構成単位、ポリメチレンテレフタレート単位(以下エチレンテレフタレート単位で代表させ、T単位という。)のみからなる(線状)単独重合体(以下ポリエチレンテレフタレートで代表させ、原告重合体という。)である。
二 (参加被告の実施する目録(一)方法)
1 参加被告は、別紙目録(一)記載の方法(以下目録(一)方法という。)を実施している。
これを整理すると、次のようになる。
(一) 原料
(1) エチレングリコール(ボリエチレングリコールの一種)
(2) テレフタール酸又はその低級脂肪族エステル(甲特許と同じく、以下テレフタール酸で代表させ、T成分という。)八八モル%
(3) パラオキシ安息香酸又はその低級脂肪族エステル(以下パラオキシ安息香酸で代表させ、P成分という。)一二モル%
(二) 手段
(1) 原料(3)を原料と(1)先ず反応させ
(2) 反応生成物と原料(1)と原料(2)とを混合して反応させ
(3) 加熱して重合させること
目録(一)方法の手段は、右の三段階に分れ、実際の製造方法に即して説明すると、次のようになる。
イ 予備工程。第二の単量体の製造工程であり、パラ―β―ヒドロキシエトキシ安息香酸―β―ヒドロキシエチルエステル(以下Pエステルという。)の単量体を予めつくつておく。
ロ 第一工程。この工程は、甲特許発明の第一工程に相当し、Tエステルの単量体を製造する工程である。処理操作は、甲特許発明の第一工程のそれと同一である。
ハ 第二工程。この工程においては、Tエステル相互間、Pエステル相互間、Tエステル・Pエステル相互間で、縮合重合反応が生起する。処理操作は、甲特許発明の第二工程のそれと同一である。
(三) 目的物
(共)高重合結晶性物質
P成分より由来した構成単位、エチレンオキシベンゾエート単位(以下P単位という。)とT成分より由来したT単位とが、分子鎖中において順不同に入り乱れて結合し、しかも平均してP単位が一二、T単位が八八の割合となる(線状)ランダム共重合体(以下被告共重合体という。)である。
2 参加被告は、訴外インベンタ社より、目録(一)方法を包含する特許第三一六、三九三号発明の通常実施確を取得し、目録(一)方法を使用して高重合体を製造し、これを他に譲渡している。
三 (侵害)
目録(一)方法の実施行為は、以下の理由により、甲特許権を侵害する。
1 (目録(一)方法は甲特許発明の技術的範囲に属する)
目録(一)方法は、T成分とポリエチレングリコールとの原料につき、両者を反応させ、さらに反応生成物を加熱して高重合された状態のエステルとする手段により、目的物として高重合結晶性物質を得るという甲特許請求範囲に記載された必須要件のすべてを具備し、その構成をそのまま使用している。従つて、目録(一)方法は、文言上、甲特許発明の技術的範囲に属する(甲特許明細書に、第三原料を附加使用し、共重合体を製造する方法についての記載がないが)。
2 (目録(一)方法は甲特許発明を利用するものである)
(一) まず、甲特許発明と目録(一)方法につき、その要件たる原料、手段、目的物を比較する。
(1) 原料
前者は、ポリメチレングリコールとT成分とを用い、後者も、ポリメチレングルコールの一種のエチレングリコールとT成分とを用いるから、この点では変りがない。ただ、後者においては、予め、P成分とエチレングリコールとを反応させてPエステルを生成しておき(予備工程)、エチレングリコールとT成分とを反応させる際に、このPエステルを加えるから、この点で異つているにすぎない。
(2) 手段
前者は、T成分とポリメチレングリコールを「反応」させ(第一工程)、反応生成物を「加熱」して「高重合された状態のエステル」が生成されるまで重合反応を継続させる(第二工程)のであつて、後者も、右反応を経るから、この点では変りがない。ただ、後者においては、T成分とエチレングリコールとの反応によつて生成されるTエステルと共にPエステルが第二の単量体として第二工程における重合反応に関与するから、この点で異つているにすぎない。
(3) 目的物
前者は、原告重合体であり、後者は、被告共重合体である。
(二) 高分子化合物は、多分子性を有し、共重合体は、(1)反応当量がない、(2)添加した共重合成分の増減に応じて、その性質が連続的に変化し、共重合成分が減少するに応じて、その物理的、化学的性質が単独重合体に近づく、(3)その結晶性が単独重合体より低下する。(4)その融点が単独重合体より低下する、(5)その溶解性が単独重合体より増大する等の特性を有する。
(三) そこで、原告重合体と被告共重合体の性質を比較する。
(1) 結晶性・結晶構造。高分子化合物が結晶性であるためには、その構成単位に高度の対称性が必要であり、重合体が繊維形成能をもつためには、線状の結晶性高重合体であることが必要である。原告重合体は、非常に結晶性の良い物質であつて優れた繊維形成能をもつている。被告共重合体も、これにやや劣るとはいえ結晶性の良い物質であり、やはり優れた繊維形成能をもつている。被告共重合体の結晶は、ポリエチレンテレフタレートの結晶性に依存している。P成分を多くすると、結晶性は次第に低下し、その共重合割合が五〇モル%をこえると、殆んど結晶性がなくなる。被告共重合体繊維のX線図と原告重合体繊維のX線図とは同一であるから、両繊維の結晶構造は同一である。後者の結晶部分がT単位のみによつて形成されていることは疑いないから、前者の結晶部分も、またT単位のみから形成され、P単位は、非晶部分に局在している。
(2) 融点。原告重合体の融点は、約二六〇℃であり、この融点の高さは、その緻密な結晶構造に基いている。被告共重合体の融点は、約二〇℃低下した約二四〇℃であるが、実用的合成繊維の製造という観点からみれば、なお著しく高融点である。この融点の低下は、共重合体一般における融点降下現象のあらわれである。
(3) 耐溶剤性。原告重合体は、アセトンやクロロフォルム等の通常には不溶で、フォルムアミド、ニトロベンゼン、石炭酸等の強力な溶媒に僅かに溶ける程度であり、広範囲の溶媒に対して極めて安定である。被告共重合体は、これよりも溶解性が若干大きいが、なおアセトンやクロロフォルムには不溶であつて、実用的合成繊維の製造という観点からみれば、その増加の程度はとるに足らない。この溶解性の増大も、共重合体一般における溶解性増大現象のあらわれである。
(4) 冷間引抜性。原告重合体が冷間引抜性を取得するには、重合度が二五程度あれば十分である。被告共重合体も、平均的にみれば一区間当りのT単位のみの結合個数が遙かに少くなつているとはいえ、P単位がこれらを相互間に結合することにより、全体としての重合度を高めて冷間引抜性を得ている。
以下の比較によれば、被告共重合体の性質は、甲特許発明の目的に照し、原告重合体の性質を受け継ぐものであり、被告共重合体は、原告重合体と本質的に同一の物質である。
(四) 結局、目録(一)方法は、甲特許発明と比較し、同じ原料を少量の附加原料とともに用い、同じ手段を施し、発明の目的からみて本質的に同じ目的物を製造する化学方法であり、換言すれば、酸成分としてT成分を用い、これとポリメチレングリコールとを組合せて、従来のポリエステルに見られない高結晶性、高融点、高耐溶剤性の繊維形成能ある高重合体を得るという甲特許発明の技術的思想のすべてを使用するものであるから、たとえP成分を加えて共重合するという新しい技術的要素の附加があるとしても、なお甲特許発明を利用する方法である。
3 (目録(一)方法は甲特許権を直接に侵害する)
被告共重合体は、それを構成する分子を考えた場合、全くT単位のみからなる分子や、殆んどT単位のみからなるのでポリエチレンテレフタレート分子と同一視しうる分子を数多く含んでいる。それ故、目録(一)方法を実施すれば、その過程において、甲特許発明と同一の原料と同一の手段により同一の目的物およびこれと同一視しうる物質を製造する方法が生起し、甲特許権を直接に侵害する。
第三 乙特許権の侵害について
一 (原告の乙特許権)
1 原告は、次の特許権を有する。特許第二一三、五一五号(以下乙特許という。)
発明の名称 高重合物より人造繊維の製造法
出 願 日 昭和二五年五月一六日
優先権主張日 工業所有権戦後措置令により昭和二〇年(一九四五年)九月二四日の米国における特許出願に基く優先権を主張
公 告 日 昭和二八年一〇月一九日(特許出願公告昭和二八年第五、三七〇号)
登 録 日 昭和三〇年五月一四日
2 乙特許明細書の請求範囲の項には、次の記載がある。
「高重合ポリチレンテレフタール酸エステルを鎔融状態にて線条に製造し次に繊維軸に沿いて分子配列に対する特性あるX線型を示すよう強き可撓性繊維に冷間引抜を行うことを特徴とする高重合ポリチレンテレフタール酸エステルから人造繊維を製造する方法」
これを整理すると、次のようになる。
(一) 原料
高重合ポリチレンテレフタール酸エステル
(二) 手段
(1) 原料を鎔融状態で線条に製造し
(2) 右線条を繊維軸に沿つて分子配列に対する特性あるX線型を示すよう強き可撓性繊維に冷間引抜を行うこと
乙特許発明の手段は、右の二段階に分れ、実際の製造方法に即して説明すると、次のようになる。
イ 第一工程。紡糸工程である。原料の高重合ポリチレンテレフタール酸エステルを加熱鎔触して線条とする。
ロ 第二工程。延伸工程である。分子を規則正しく配列させ、強い繊維にするために行われる。「繊維軸に沿つて分子配列に対する特性あるX線型を示すよう」とは、「繊維軸に沿つて分子が配列し、X線で調べれば特性あるX線型を示すように」ということであり、操作の仕方を示す表現ではなく、冷間引抜の程度を示すものである。「強き可撓性繊維に」ということは、冷間引抜した結果強き可撓性繊維になるということであり、操作としては別段意味がない。「冷間引抜」とは、「延伸」のことであり、紡糸して線条としたものを、融点以下の温度で、線条の軸方向に引伸す操作のことである。
(三) 目的物
人造繊維
これは、高重合ポリメチレンテレフタール酸エステル繊維(以下ポリエチレンテレフタレート繊維で代表させ、原告繊維という。)である。
二 (参加被告の実施する目録(二)方法)
1 参加被告は、別紙(二)目録記載の方法(以下目録(二)方法という。)を実施している。
これを整理すると、次のようになる。
(一) 原料
被告共重合体
(二) 手段
(1) 熔触状態で線条に形成し―紡糸工程
(2) 延伸すること―延伸工程
「延伸」という操作は、乙特許発明の「冷間引抜」と同一の操作である。
(三) 目的物
共重合体繊維(以下被告繊維という。)
2 被告等は、いずれも訴外インベンタ社より、同社が仮保護の権利を有する目録(二)方法を包含する特許出願公告昭和三八年第二〇、七四七号発明の通常実施権を取得し、参加被告は、目録(二)方法を使用して被告繊維を製造し、これを被告に譲渡し、被告は、参加被告より、右繊維を買受け、これを使用加工して織物を製造し、他に販売譲渡している。
三 (侵害)
目録(二)方法の実施行為は、以下の理由により、乙特許特許権を侵害する。
1 (目録(二)方法は乙特許発明の均等方法である)
(一) 目録(二)方法は、乙特許発明と本質的に同じ原料(均等物)に同一手段を施し本質的に同じ目的物(均等物)を得る方法であるから、乙許特発明の均等方法である。
(二) 前記のとおり、目録(二)方法の原料の被告共重合体は、原告重合体と、本質的に同じ物質であり、両方法の手段は、全く同一である。
(三) 原告繊維は、(1)アイロン掛けその他の加熱操作に耐えうる、(2)ヒート・セットして縮まないようにしうる、(3)パーマネント・フリーツ性がある、(4)型くずれがしない、(5)強度が大で摩擦に強い、(6)濡れたときでも右のような特性を維持しうる、(7)混紡性が良い、(8)種々の薬品の作用に強い、(9)光によつておかされない、(10)かびの働きに対して強い、(11)ウオッシュ・アンド・ウエアー性がある等の特性を有する。右特性の一つ一つは他の合成繊維にもみられるが、原告繊維は、総合的に右特性を有し、就中、右(3)(7)、(11)の性質をその特色とし、これからつくられた織物は、「テトロン」なる商標の下に市販されている。被告繊維も、原告繊維と殆んど同様の特性を有し、これからつくられた織物は、「ニチレエステル」なる商標の下に市販されているが、市場においては、原告の「テトロン」と被告等の「ニチエステル」とは同種の合成繊維織物として取扱われている。従つて、被告繊維は、原告繊維と、本質的に同じ繊維である。
(四) 右の事実は、被告等主張の置換可能性の要件をも充足している。
(五) 乙特許の優先権主張日当時すでに、カローザスは、二種類以上の原料を用いて共重合体をつくる技術を一般的に教示し、かつその製造法およびその冷間引抜方法について米国において特許を得ていた。従つて、被告主張の予測可能性の要件も充足している。
2 (目録(二)方法は乙特許発明を利用するものである)
目録(二)方法は、乙特許発明の原料(原告重合体)に、少量のP成分が化学的に附加された被告共重合体を原料とし、乙特許発明と同一の手段を施し、それによつて、前記のように、乙特許発明の目的物たる原告繊維と本質的に同じ繊維(被告繊維)を得る方法である。従つて、目録(二)方法は、原告重合体を用いて強い繊維を得るという乙特許発明の技術的思想のすべてを使用する方法であるから、多少の改良があると否とにかかわらず、なお、乙特許発明を利用する方法である。
第三 結論
よつて、目録(一)方法の実施行為は甲特許権を侵害し、目録(二)方法の実施行為は、乙特許権を侵害するから、原告は、甲・乙両特許権に基き、参加被告に対し、目録(一)方法による高重合体の製造・譲渡の停止、目録(二)方法による繊維の製造・譲渡の停止、および右各侵害行為により生じた物である高重合体・繊維の廃棄を、被告に対し、目録(二)方法による繊維の使用・譲渡の停止、および右侵害行為により生じた物である繊維の廃棄を、それぞれ求めるため本訴に及んだ。
被告等の主張(答弁)
第一 甲特許権の侵害について
一 (認否)
原告主張請求原因事実一、二は認める。
二 (侵害の不存在)
目録(一)方法の実施行為は、甲特許権を侵害しない。
1 (目録(一)方法は甲特許発明の技術的範囲に属しない)
(一) 甲特許発明の技術的範囲は、第三原料を附加使用し、共重合体を製造する方法(甲特許明細書にこの点の記載がない。)を含まないから、目録(一)方法は甲特許発明の技術的範囲に属しない。
(二) 参加被告は、訴外インベンタ社より、同社が特許権を有する目録(一)方法を包含する特許第三一六、三九三号発明の通常実施権を取得しているものであるから、目録(一)方法が甲特許発明の技術的範囲に属すると原告が主張することは許されない。
2 (目録(一)方法は甲特許発明を利用するものではない)
(一) 特許法第七二条にいう「利用」とは、後行発明が、先行特許発明の要旨をそつくり含み、その構成と効果をそのまま用いているため、その発明を実施するときは、同時かつ必然的に、先行特許発明をも実施する関係にあるが、ただ新しい技術的要素が加わつているために、先行特許発明とは別に特許された場合の、両発明の関係を指すのである。利用されるものは、必ず先行特許発明自体なのであるから、利用発明は、先行特許発明の要旨、すなわち、各構成要素の有機的結合のすべてを実施する関係になければならない。
(二) 従つて、先行特許発明が化学方法の発明であれは、まず、その過程において生起する化学反応全部が後行発明の過程において生起しなければ、後者が前者を利用するといえない。
そこで、甲特許発明と目録(一)方法の各過程において生起する化学反応を比較する。
(1) 目録(一)方法の予備工程におけるPエステル生成反応は、甲特許発明における反応と全く無関係である。
(2) 目録(一)方法の第一工程における反応のうち、Tエステルの単量体(低縮重合体)生成反応は、甲特許発明の第一工程において生起する単量体(低縮重合体)生成反応と同一である。
(3) 甲特許発明の第二工程における反応は、T単位のみが連続して平均五〇個以上結合する縮合重合反応である。
目録(一)方法の第二工程における反応は、TエステルとPエステルとが共に単量体として縮合重合反応に関与し、T単位とP単位とが、分子鎖中において順不同に入り乱れて結合し、しかも平均してP単位が一二、T単位が八八の割合となるような線状ランダム共重合体が生成される反応である。もとより、ここでも、T単位のみからなる縮合重合反応が生起するけれども、T単位が連続して結合する個数は平均七個にすぎない。
従つて、甲特許発明の第二工程における化学反応が目録(一)方法の工程において生じない。
(三) 次に、先行特許発明の目的物と後行発明の目的物が化学構造を異にする別物質であれば、利用関係は成立しない。
甲特許発明の目的物と目録(一)方法の目的物は、次のとおり、化学構造を異にする別物質である。
原告重合体は、T単位のみが平均して五〇個以上連結した単独重合体であるのに対し、被告共重合体は、T単位、P単位の二種の構成単位からなり、T単位とP単位の割合は八八対一二、従つて、T単位のみの連結個数は平均して七個にすぎないランダム共重合体である。
被告共重合体は、その分子鎖中に、エステル結合のほか、芳香族核に直結したエーテル結合も有し、従つて、共重合ポリエーテルエステルであるのに対し、原告重合体は、右エーテル結合を有しない単独重合ポリエステルに属する。
(四) 被告共重合体の性質は、その固有の化学構造に基くものであつて、原告重合体の性質を受け継ぐものではない。
(1) 結晶性・結晶構造。被告共重合体の結晶性・結晶構造は、その固有の化学構造に基き、原告重合体と異なつている。
(2) 融点。被告共重合体の融点は、約二三三℃であり、原告重合体の融点約二六〇℃より約三〇℃も低い。
(3) 耐溶剤性。両者の特定の溶剤に対する溶解性は、明白に異つており、被告共重合体を溶解しうるが、原告重合体を溶解しえない溶媒が、多数存在する。
被告共重合体の性質は、上記の結晶性、融点、耐溶剤性等の基本的性質においては勿論、その他二次転移点、結晶化速度、成型時の熱安定性、粘弾性挙動等の点において原告重合体と異なり、さらに、繊維とした場合に、原告繊維の欠点とされている染色性、耐ピリング性、風合等の性質において格段に優れているから、個々の性質はもとより、全体としての総合的性質においても、原告重合体の性質を受け継ぐものではない。
(五) 要するに、甲特許発明と目録(一)方法とは、相互に全く無関係な別個の方法であり、利用関係は成立しない。
3 (目録(一)方法は甲特許権を直接に侵害しない)
甲特許発明の目的物ポリメチレンテレフタール酸エステルは、その分子の一つ一つが発明の目的物となるわけではないのであつて、高重合ポリメチレンテレフタール酸エステル分子の集合体全体、すなわち、多分子性を有する高分子化合物そのものが、甲特許発明の目的物であり、このように解した場合、甲特許発明の目的物は、目録(一)方法の目的物の中には含まれていないから、目録(一)方法は甲特許権を直接に侵害しない。
第二 乙特許の侵害について
一 (認否)
原告主張原因事実一、二は認める。
二 (侵害の不存在)
目録(二)方法の実施行為は、乙特許権を侵害しない。
1 (目録(二)方法は乙特許発明の均等方法ではない)
(一) (1) 均等方法とは、特許発明の構成要素のいずれかを他のものに置き換えてみても、特許発明と同一の作用効果を生じ(置換可能性)、かつ、そのことが特許出願日(優先権主張日)当時における平均水準の技術者にとつて容易に推考しうるような(予測可能性)方法である。
(2) 目録(二)方法の原料と乙特許発明の原料とは、前記のとおり、化学構造を異にし、性質を異にする別個の物質である。
目録(二)方法の目的物である被告繊維は、乙特許発明の目的物である原告繊維の欠点とされている染色性、耐ピリング性、風合等の性質において格段に優れている。これは、両繊維が、化学構造を異にし、微細組織の構造をも異にする別個の繊維であることを示している。
従つて、目録(二)方法は、原料も目的物も、乙特許発明と置換可能性がない。
(3) 目録(二)方法の原料も目的物も、乙特許優先権主張日当時未知の新規な物質であつたから、予測可能性もない。
(4) 従つて、目録(二)方法は乙特許発明の均等の方法ではない。
(二) 被告等は、いずれも、訴外インベンタ社より、同社が出願公告による仮保護の権利を有する目録(二)方法を包含する特許出願公告昭和三八年第二〇、七四七号発明の通常実施権を取得しているものであるから、目録(二)方法が乙特許発明の均等方法であると原告が主張することは許されない。
2 (目録(二)方法は乙特許発明を利用するものではない)
乙特許発明と目録(二)方法は、乙特許優先権主張日以前より公知慣用の溶触紡糸延伸を手段とする点において、共通しているが、目録(二)方法は、乙特許発明の原料とは異なる新規物質を使用するのであるから、乙特許発明を利用するものではない。
第三 結論
目録(一)方法は、甲特許権を侵害せず、目録(二)方法は、乙特許権を侵害しないから、原告の本訴請求はすべて失当である。
証拠
別紙のとおり<省略>
理由
第一 甲特許権の侵害について
一(争いがない事実)
原告主張請求原因事実一(原告の甲特許権)、二(参加被告の実施する目録(一)方法)は、当事者間に争いがない。
二(目録(一)方法は甲特許発明の技術的範囲に属するか)
本件甲特許明細書のように、明細書の「特許請求の範囲」の項に、「本文に詳記したようにAをBと反応させ、反応生成物を加熱して高重合された状態のエステルとすることを特徴とする高重合結晶性物質の製造法」とのみ記載され、明細書の他の項にも、原料としてA、Bとともに第三原料Cを附加使用しうる旨の記載がない(本件当事者間に争いがない。)場合、特別の事情のないかぎり、右特許発明の技術的範囲は、原料としてA、Bを使用する方法に限定され、原料としてA、B、Cを使用する方法は、右特許発明の技術的範囲に属しないと解するのが相当である。けだし、特許の対象である技術的思想は、明細書、特にその「特許請求の範囲」の項に記載されることによつて一般に公開されるものであるからである。
本件において右特別の事情について主張立証がない。
従つて、目録(一)方法は甲特許発明の技術的範囲に属しない。
三(目録(一)方法は甲特許発明を利用するものであるか)
1 特許法第七二条にいう特許発明の利用とは、先行特許発明を実施することなしに後行特許発明を実施することができない関係を意味するから、利用発明は、先行特許発明の要旨全部を含み、これに新たな技術的要素を附加したものである。
従つて、後行発明が先行特許発明を利用するものであるか否かは、後行発明が先行特許発明の要旨全部を含んでいるか否か、換言すれば、後行発明の中に先行特許発明が一体性を失うことなく存在しているか否かによつて決定される。
2 (一) 一種類の化合物が二個以上化学的に結合し、分子量の大きな化合物を生成することを重合と称し、重合前の化合物を単量体、重合生成物を単独重合体と称する。
二種(またはより多数)の単量体を混合して重合させると、重合体は二種の重合体の混合物ではなくて、その分子は両単量体の化学的結合によつて生成されている場合があり、このような重合を共重合と称し、共重合生成物を共重合体と称する。
(二) 高分子化合物は、多分子性(分子量の異なる同種の分子より構成されていることを多分子性と称する。)を有し、共重合体は、(1)反応当量がない、(2)添加した共重合成分の増減に応じて、その性質が原則として連続性に変化し、共重合成分が減少するに応じて、物理的、化学的性質が単独重合体に近づく、(3)その結晶性が単独重合体より低下する、(4)その融点が単独重合体より低下する、(5)その溶解性が単独重合体より増大する等の特性を有する(<証拠>により認めうる。)。
3 先行特許発明が原料A、Bに一定の手段を施して、単独重合体Xを製造する化学方法の発明であり、後行発明が、原料A、Bとともに第三原料Cに同一の手段を施して、共重合体Yを製造する化学方法の発明である場合、第三原料Cが、先行特許発明の作用効果の実現に併せて他の有益な作用効果をも附加的に達成するといつた附加的作用を果すにとどまるときは、後行発明は先行特許発明を利用するものであると解するのが相当である。けだし、この場合、後行発明の中に先行特許発明が一体性を失うことなく存在(先行特許発明の要旨全部が存在)していると解しうるからである。
右設例の場合、先行特許発明の目的物X(単独重合体)と後行発明の目的物Y(共重合体)とは、化学構造を異にする別物質であり、従つて、これらの目的物を生成する化学反応は異なる。しかし共重合体の前記特性から考えて、右XとYとが化学構造を異にする別物質であること、およびXを生成する化学反応とYを生成する化学反応とが異なることは、そだけでは、後行発明が先行特許発明を利用するものであることを否定する理由とならないと解するのが相当である。
4 本件についてこれをみるに、目録(一)方法は、甲特許発明の二原料とともに第三原料を附加するものであり、両者の手段は同一である。
5 (一) よつて第三原料の附加が前記附加的作用を果すにとどまるか否かについて判断する。
(二) 甲特許発明の目的は、冷間引抜によつてフィルムおよび繊維に加工しうるような高融点、高耐溶剤性の高重合結晶性物質の製造にある(甲第三号証により認めうる)。
(三) そこで、原告重合体と被告共重合体の各性質を比較することにより、甲特許発明の目的に照して、原告重合体の製造を対象とする甲特許発明の実現した作用効果の程度、および被告共重合体の製造を対象とする目録(一)方法がP成分の附加により右作用効果の実現に与えた影響の程度を明らかにする。
(1) 結晶性・結晶構造
<証拠>によれば、左記各事実を認めうる。<証拠>のうち左記認定に反する部分は採用しえない。
イ 高分子化合物が結晶性であるためには、その構成単位に高度の対称性が必要であり、また、重合体が繊維形成能をもつためには、線状の結晶性高重合体でなければならないこと、P単位の化学構造は、T単位のそれに極めて類似しており、両構成単位は、共に高度の対称性を有しており、しかも、原告重合体と被告共重合体とは、共に線状の結晶性高重合物質であり、いずれも繊維形成能を有していること、合成繊維の強度、融点は、主として結晶部分に依存すること。
ロ 被告共重合体の結晶部分がT単位のみによつて構成されているが、P単位を含んで構成されているかの点について決定的な証拠がないこと、しかし、(イ)T成分とP成分とからなる共重合体繊維について撮影したX線図をみると、P成分三〇モル%以下の場合原告繊維のX線図と同じものが得られ、P成分九〇モル%以上の場合P成分のみからなる高重合ポリエチレンオキシベンゾエート重合体(以下PEOBという。)繊維のX線図と同じものが得られ、中間領域ではX線図が不明瞭であること、(ロ)右共重合体繊維について測定した赤外線吸収スペクトルをみると、P成分四〇モル%以下の場合原告繊維の結晶性バンドと同じものが生じ、P成分八〇モル%以上の場合PEOB繊維の結晶性バンドと同じものが生じ、中間領域では結晶性バンドが生じないこと、(ハ)右共重合体繊維について結晶面間隔を測定すると、P成分三〇モル%以下の場合原告繊維との間に有意差が認められないこと、(ニ)右共重合体繊維について繊維周期を測定すると、P成分五〇モル%以下の場合原告繊維と同じ長さを示し、P成分七〇モル%以上の場合PEOB繊維と同じ長さを示し、中間領域では測定ができないこと、(ホ)右共重合体繊維について結晶化度と密度を測定すると、P成分の増加につれて漸次減少し、P成分六〇モル%を最低として再び増大し、原告繊維の結晶化度は約五五%、被告繊維の結晶化度は約五〇%、P成分六〇モル%の場合の結晶化度は約五%にすぎないこと、従つて、被告共重合体の結晶部分が、P単位を含んで構成されているとしても、殆んどT単位のみによつて構成されていると推認しうること。
(2) 融点
<証拠>によれば、左記事実を認めうる。
原告重合体の融点は二六〇℃前後であり、被告共重合体の融点は二四〇℃前後であり、いずれも他の合成繊維の融点を考慮すると、なお著しく高融点であると考えうること、T成分とP成分からなる共重合体について融点を測定すると、P成分四〇モル%以下の場合それが増すにつれて融点は漸次低下し、P成分五〇ないし八〇モル%の範囲では融点は存在せず、更にP成分九〇モル%以上の場合PEOBの融点に近づくこと。
(3) 耐溶剤性
<証拠>によれば、左記事実を認めうる。
被告共重合体は、原告重合体に比し、やや溶解性が大きいが、甲特許公報中で言及されているアセトンやクロロフォルムのような普通の溶媒には不溶であつて、なお実用的範囲にあること、しかも、右溶解性の増大は成分の共重合に基因するものであつて、T成分とP成分からなる共重合体において、P成分二〇モル%以下の場合原告重合体と同様に耐溶性が優れており、P成分三五ないし五〇モル%の場合溶解性が相当大きくなり、PEOBに近ずくと再び耐溶剤性が増大していること。
(4) 冷間引抜性
原告重合体、被告共重合体が共に冷間引抜性を有していることは、当事者間に争いがない。
(5) 二次転移点、結晶化速度、成型時における熱安定性、粘弾性挙動
<証拠>によれば、これらの性質には差異があるが、その差異は僅かであることを認めうる。
(四) 上記事実を総合すれば、原告重合体と被告共重合体との右性質上の差異は、単独重合体と共重合体との一般的な関係に対応するものであり、被告共重合体の性質は、原告重合体の性質を基礎として、P成分を加えることにより、漸次連続的に変化して来たものであること、右性質上の差異は僅かであつて、実用的合成繊維製造という観点からみれば差等をつけ難い程度であることが明らかである。
(五) 被告等は。被告共重合体を繊維とした場合に、原告繊維の欠点とされている染色性、耐ピリング性、風合等の性質において格段に優れている旨主張する。
成程<証拠>によれば、被告繊維は、原告繊維に比し、染色性、耐ピリング性において優れ、「ニチレエステル」織物が特有の風合をもつていることを認めうる。
しかし、<証拠>によれば、原告繊維自身、被告繊維に比し程度においてやや低いながらも、染色性、耐ピリング性を有し、また「テトロン」織物も特有の風合をもつていること、被告繊維の染色性、耐ピリング性、「ニチレエステル」織物の風合がいかに良好であるといつても程度の差にすぎないこと、P成分共重合技術は、右性質改善のための唯一の方法というわけではなく、その程度の改善ならば、他の共重合成分を用いる共重合技術によつても可能であるし、その他各種の物理的、化学的方法によつても可能であることを認めうる。
(六) 従つて、目録(一)方法は、主として甲特許発明の作用効果を実現し、P成分は附加的作用を果すにとどまると解するのが相当である。
6 よつて、目録(一)方法は、甲特許発明を利用するものであり、目録(一)方法の実施行為は、原告の甲特許権を侵害すると判断する。
7 従つて、参加被告は、特許法第一〇〇条に基き、原告に対し、目録(一)方法を使用して高重合体を製造し、譲渡することを停止し、かつ、目録(一)方法を使用して製造した高重合体を廃棄すべき義務を負う。
第二 乙特許権の侵害について
一(争いがない事実)
原告主張請求原因事実一(原告の乙特許権)、二(参加被告の実施する目録(二)方法)は、当事者間に争いがない。
二(目録(二)方法は乙特許発明の均等方法であるか)
1 均等方法とは、特許発明の技術的要素のいずれかを他のものに置き換えてみても、特許発明と同一の作用効果を生じ(置換可能性)、かつ、そのことが特許出願日(優先権主張日)当時における平均水準の技術者とつて容易に推考しうるような(予測可能性)方法であると解するのが相当である。
従つて、均等方法であるか否かは、右の置換可能性と予測可能性の二要件が充足されるか否かによつて決定される。
2 本件についてこれをみるに、乙特許発明と目録(二)方法の手段は同一である。
3 よつて、まず、原料として原告重合体のかわりに被告共重合体を使用することが、右の予測可能性の要件を充足するか否かについて判断する。
原告主張の第二の三の1の(五)事実によつては、予測可能性の要件事実を認めるに足りず、他に右要件事実を認めうる証拠はない。かえつて、<証拠、鑑定>によれば、被告共重合体は、乙特許優先権主張日当時、未知の物質であつたことを認めうるから、右予測可能性がなかつたものと認めるのが相当である。
4 従つて、その余の判断をなすまでもなく、目録(二)方法は乙特許発明の均等方法ではない。
三(目録(二)方法は乙特許発明を利用するものであるか)
目録(二)方法は、乙特許発明の原料である原告重合体を全く使用せず、これと化学構造を異にする別物質である被告共重合体を使用するのであるから、乙特許発明の要旨全部を含み、これに新たな技術的要素を加えた方法ではない。
従つて、目録(二)方法は乙特許発明を利用するものではない(第一の三の1参照)。
第三 結論
よつて、原告の被告等に対する本訴請求は前記認定の義務履行を求める限度において理由があると認めてこれを認容し、その余の請求を棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条、第九二条本文を適用し、なお仮執行の宣言の申立については相当でないからこれを却下し、主文のとおり判決する。(小西 勝 杉島広利 辰已和男)
目 録(一)
テレフタール酸又はその低級脂肪族エステル(T成分)とパラオキシ安息香酸又はその低級脂肪旅エステル(P成分)とエチレングリコールとを使用し(但しT、P両成分の割合は前者八八モルパーモント、後者一二モルパーセント)、先ずP成分とエチレングリコールを反応させ、得られた反応生成物とT成分およびエチレングリコールを混合して加熱重合させ重合体を得る方法
目 録(二)
目録(一)方法で得られた高重合体を熔融状態で線状に形成し、これを延伸して繊維を製造する方法